緊迫する尖閣諸島。だが、今に始まった事ではない。支那人の暴走に対しまともに対処できない我が國の政府。増長する盗人集団支那=B心ある人々は政府の弱腰と支那の凶行に歯軋りしながら尖閣の海を見ていた。そのような時代背景の、昭和53年5月11日に石門社と大日本赤誠会の尖閣諸島領有決死隊が海保の悪質な妨害行動に屈する事なく魚釣島に強行上陸した。あれから34年、支那の増長・暴走はとどまる事がない。中華覇権思想にもとずく支那人の盗人根性、民族性は時代が変わろうとも決して変わらない。支那人は何処に居ようといつの時代であろうとその本性は盗人なのである。
20年前に支那情勢の第一人者である伊達先生に寄稿していただいた論文である。なまぬるく甘い日本人の発想は支那人を増長させるだけである事を尖閣諸島から学んでほしい。
南沙諸島から尖閣諸島へ
日本政府のなまぬるい領土主権認識
伊達 宗義
(だて むねよし)
南シナ海に進出する中国
すでに周知のことであるが二月二五日中国は「領海法」を公布した。この「領海法」のなかで中国は、日本固有の領土である尖閣諸島(中国名・釣魚島)を自国領土だと一方的に定め、またベトナム、マレーシア、フィリッピン、ブルネイなどがそれぞれ部分的に領有を主張している南沙諸島すべてを、中国の領土であると宣言し、なおかつ同諸島をふくむ海域全体を中国の「内水」であるとしている。そして「領海法」は、中国の領海内に違法に侵入した外国船舶に対しては、これを領海外に駆逐し、さらにそれを相手国の領海にまで追跡することを定めているのである。
この「領海法」の制定と前後して中国は、南沙諸島のハダウ礁を占拠し、五月には米企業との間にべトナム寄りの同諸島海域の石油探査協定をむすび、七月上旬にはダラク礁に領土標識をうち立てた。
こうした中国の一方的な強引な行動に対してベトナムは自国領土の侵害として厳重な抗議をおこない、マレーシアやフィリッピンなども中国不信の念を強くあらわした。
七月二一日からマニラで開かれた東南アジア諸国連合外相会議では、この南沙諸島をふくむ南シナ海に関する特別宣言が採択され、そこで「南シナ海でのいかなる敵対的行動も同地域の平和と安定に直接影響することを認識すべきである」として「南シナ海をめぐるすべての主権と領有権の問題を武力の行使でなく、平和的手段で解決することが必要であると強調する」と宣言した。名指しこそしなかったものの明らかに中国を非難する態度がそこにあらわれている。
この会議の前日におこなわれた銭其?・中国外相とマングラプス・フィリッピン外相との会談のなかでも南沙諸島の領有権問題がとりあげられ、フィリッピンはこの問題について国連による仲裁を提案したが、中国は当事国聞での解決を主張、結局妥協策として領有権を棚上げ″にした資源の共同開発案が浮び上った。しかし領有権を棚上げ≠ノしたといっても中国の「領海法」が撤廃されるわけではないので、中国はあくまで、南沙諸島全域にわたる海域は中国の内水″である、という主張を後退も変更もすることなくとりつづけることができるのである。ベトナムやフィリッピンなどの非難を浴びながらも、結局中国はいささかも実利を失うことはなかったといえるだろう。
中国海軍の増強ぶり
中国が尖閣諸島や南沙諸島の領有権を明確にし、とくに南シナ海において支配権を明示するような実際行動をとりはじめた背後には、海軍力の増強という事実がある。
中国は一九八〇年代に入ると本格的に近代化建設を始動したが、そのなかに軍の近代化がある。毛沢東時代には軍はもっばら共産主義思想の学習を中心とするいわゆる精神教育に専念し、兵器装備の更新を中心とする軍の近代化はほとんど顧みられないありさまであった。こうした状態にすべての軍人が満足していたわけではない。多分に憂慮の念をもって軍のあり方を見つめていたものもいたに違いないけれども、当時は、兵各装備の近代化が必要である、ということを主張しようものなら、それはブルジョア軍事思想に毒された唯武器論≠ナあるとして激しく糾弾され失脚、追放されるのがおちであった。
しかしその毛沢東時代が終りケ小平が実権を握り、近代化建設路線が最大の任務として提起された。こうして軍近代化はやっと日の目を見ることになった。
中国軍のなかでは陸軍が最も強大な勢力を誇っており、ついで空軍、海軍の順で、海軍は三軍のなかで最も劣勢であった。だが中国がそれまでの実質的鎖国状態をかなぐり捨てて開放政策を推進して行くことになると、海洋進出が急務となってくる。こうして軍近代化をすすめるなかでその重点は海軍の強化にむけられるようになった。
海軍の増強ぶりを、中国海軍の代表的駆逐艦旅大型(満載排水量三八〇〇トン)の建艦状況を例にとってみると、一九七〇年代の一〇年間に七隻建造しているのが、一九八〇年代に入るとこれまでに八隻が竣工しさらにすくなくとも二隻が建造中となっている。またこのうち一隻はヘリコプター(二機)搭載型に改造されている。八〇年代後半にはいるとヘリコプタ一搭載の新型ミサイル駆逐艦(四三〇〇トン)の建造(複数)がはじまり、そのうちの一隻がこのほど「珠海」と命名されて就役したと報ぜられた。このほかにも八六年には、中国艦艇のなかで初めての完全密閉、完全空調を採用したフリゲート艦が竣工しており、二種類の高速ミサイル艇や新型補給艦なども登場している。
さらにいまアジア諸国のみならず世界の関心をあつめているのは、中国がウクライナから六万五千トンの空母「ワリヤーク」を購入しようとしているという説である。ワリヤークは旧ソ連のトビリシ型空母の二番艦で、一番艦のクズネツオフはすでに就役しロシヤ海軍に編入されている。ワリヤークは目下ウクライナ領の黒海沿岸のニコライエフ南造船所で建造中であるが、旧ソ連が解体してしまったためウクライナがノルウェーの仲介で中国と売却交渉中と伝えられているのである。一説によると価格は完成艦なら四〇億ドル、艦体のみなら二億ドルといわれる。搭載機は旧ソ連の最新鋭機SU27型二〇機、ミグ29型二〇機のほかヘリコプターを搭載できるとされている。中国が本当に空母を購入するつもりなのか真偽は不明であるが、同空母に搭載できるSU27型機二四機はロシアから購入済で、すでにその一部が海南島の基地に到着しているとも伝えられている。
中国は今年から対外借款の返済のピークを迎えるので、外貨はいくらあっても大切に使わなければならない。そうしたとき、空母を購入するため大量の外貨を支出するのは余程の決断をしなければなるまい。また空母を手に入れたあともその維持と運用には多額の費用がかかるし、空母を実際に作戦運用できるようになるためには、長期にわたる巌しい訓練を経なければならない。したがって中国がもし今明年中にでもワリヤークを入手したとしても、それが実戦力を発揮できるようになるには相当の時間を必要としよう。
中国の空母に対する関心はすでに八〇年代のはじめからあらわれており空母の建造を研究中∞設計にとりかかった∞建造に着手≠ネどという情報がしきりに伝えられたが、これらはいずれも確認の段階には至らなかった。しかし今回のワリヤークの話をふくめて、中国の空母を持ちたいという願望が極めて強いことを、こうした情報をとおして十二分に推察することができるであろう。
中国が空母を持ちたいという願望を強くいだくのは、核と同様、空母が大国の一つの象徴だと考えているからであり、同時に西太平洋における海洋支配力を持ちたいからにほかならない。いずれにしても、中国の以上のような海軍力の強化が、南沙諸島と南シナ海における中国の実力行動の背後にあることは、否定することができない事実である。
日本への石油ルートを扼する南シナ海
いうまでもないことではあるが、海軍力を強化したといっても現状では中国海軍はいまだ質的に二流以下の水準にとどまっている。その中国海軍が南シナ海で威圧をふるうことができるのは、フィリッピンからの米海軍とベトナムからの旧ソ連海軍の撤退によって生じた空白につけこんだことと、南シナ海をとりまくベトナム、マレーシア、フィリッピン等の海軍力が一様に微弱なものであるからにほかならない。
このためベトナムは、中国に対抗するためロシアにカムラン湾にとどまることを要請したといわれる。これに応じてロシアはカムラン残留を決定した。だがこれによって中国海軍力の南シナ海におけるプレゼンスがなくなるというわけのものではない。むしろ中国は一層同海域における海軍力を増強しようとするであろう。南シナ海の緊張状態はこんご高まる方向にむかうことはあっても、緩和の方向にむかう可能性はすくないのである。
南シナ海における緊張の高まりはわが国の安全保障にも探くかかわりあいをもってくる。
わが国は世界一、二を争う経済大国であるが、その経済を支えるエネルギーの大半は、中東から輸送されてくる石油から生れるものである。もし万が一にでも中東からの石油の輸入がとまったならば、日本の経済は瀕死の状態に陥り、国民生活は筆舌に尽し難い窮地に追い込まれることになろう。その日本経済の死活を定める石油は中東からインド洋を通り、南シナ海を経て日本に運ばれてくる。したがって南シナ海において軍事的緊張状態が高まることは、この石油ルートが脅威を受けることになる。中国海軍のこの海域への進出は、ベトナムやマレーシア、フィリッピンなどにとって直接的脅威になることは当然であるが、日本にとつても決して無視したり軽視したりすることのできない事柄なのである。
しかも中国は空母の保有を強烈に欲している。さきに述べたように、果して中国がいつ空母を持つようになるのかならぬのかは不明であるけれども、もし空母を保有すればまず第一にその空母を用いるのは南シナ海海域であろう。空母を遊べさせればこの海域での中国の海洋支配力は一段と強化されることになる。米ロの海軍力が極めて稀薄となったこの海域で、中国の海軍力のみが突出してその存在を誇示する日がこないとはかぎらない。そうしたとき、日本に潜在的敵意とライバル意識をいだく中国が、日本の生命線ともいうべき石油ルートに意識的に脅威を与えることはないとはいえないのである。
中国の尖閣領有に眼をつぶる政府
中国はこの五月に米企業との間に、南シナ海の石油探査協定を結んだ。いま海底油田の探査と掘削の技術を持っているのは米国が一番である。中国にはいまのところその技術は無いかあるいは極めて低い。したがって探査を米企業に依頼したのである。しかし、二一世紀に入ってしばらくする頃には中国もその技術を取得するかも知れない。そうしたとき中国は自前で周辺海域の石油探査に乗り出すであろう。現在のところは特にとり立てて問題が生じていない東シナ海海域が、そのときクローズアップしてくる可能性が大きい。中国が領海法で一方的に領土であることを宣言した、日本固有の領土尖閣諸島周辺海域で、いま南シナ海でおこっているような中国の実力行動が、ここでもおこる可能性は十分にあるのではなかろうか。しかもその時点では、中国の海軍力は現在よりさらに強化されているはずであり、あるいは二流の域より脱してより高い戦力を持つものになっていることも考えられる。もしもそうした事態が生じたとき、そのときの日本政府は、領土を侵略から防衛するため、海、空の自衛戦力をフルに発揮して、侵略した敵″を断固として排除、撃退する決断を下せるであろうか。そのときの日本政府が、現在の政府と同じ体質、性格であるとしたならば、おそらく領土を侵略され奪取されたという現実をよそにおいて、ただ話し合いだけで妥協をはかろうという不毛の交渉に終始する可能性が大きい。
しかしこれはあくまでも仮説の話である。現実の問題は中国の領海法に対してとった日本政府の態度、姿勢にある。政府は領海法が発表された時点で中国に抗議を行ったけれども、中国は言を左右にして日本の抗議を無視した。日本政府の抗議はなんの反応も得られなかった。いってみれば、尖閣諸島は中国の領土であるという領海法は、そのまま生きつづけているのである。数年前日本の民族派有志が尖閣諸島に灯台を設置し、日本の水路部がこれを海図に記載しようとしたところ、中国からの反発に遭って記載を見あわせたという事実がある。このことは中国に、日本は尖閣諸島の領有主張を取り下げた、と受けとられたに違いない。領海法への日本政府の対応の軟弱さともあわせて、中国はこんごますます尖閣諸島領有の正当性を国際的にも強調するであろう。一方、日本政府は北方領土の返還をロシアに強く求めている。この秋に予定されているエリツィン大統領の来日の際、政府は北方領土返還に大きなメドをつけたい気持ちといわれる。しかし、北方領土返還要求の裏側で、尖閣諸島を自国の領土だと宣言した中国に、なにひとつ強硬な抗議もなしえなかったことをもし指摘されたならば、政府はどのように答えるつもりなのか。領土主権の主張は、その土地の広狭で左右されるものであってはなるまい。領土主権の神聖さを、政府は一貫した態度でつらぬきとおすべきである。こんごも、一方で領有を主張し、他方で領有に眼をつぶるという矛盾した態度をとりつづけるならば、いつの日か日本は大きくホゾを噛む結果に陥るであろう。
民族戦線 平成四年十月一日(第55号)より
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